僕が出演したマツコの知らない世界 『麻婆麺の世界』の中で、麻婆麺を”怪味(かいみ・ガイウェイ)”と表現する機会があったので、改めて”怪味”について考えてみたいと思います。
番組では伝えきれなかった補足もあわせて、この記事を書きました。
トップ画像は”元祖ニュータンタンメン本舗(川崎京町本店)”の麻婆麺です。ニンニクダブル(ニンダブ)で!
怪味とは?
『怪味』は中国語です。
日本語読みでは「かいみ」、中国語では「ガイウェイ(guàiwèi)」と読みます。
「複雑な味わい」というような意味で、中国の四川料理の味付けの一つでもあります。
塩味、酸味、苦味、甘味、辛味、麻味(痺れ)、旨味、香りなどが複雑に混ざった味で、いい言い方をすれば”バランスが取れている味”ということになります。一方で”ハッキリしない味”、”よくわからない味”という解釈もできますけどね。
僕は、今思えば韓国のチャジャン(짜장)に”怪味”を感じました。
⬆︎これは韓国食品店に行けば大抵は売られている有名な『3分チャジャン(3分ジャジャン)』ですが、これって、めちゃくちゃ美味しいわけでもなく、表現し難い微妙な味なんですが、なぜかたまに食べたくなるんです。ある意味、怪味の一種なんじゃないかと思います。
そう考えると、炭酸飲料の『ドクターペッパー』も「怪味」かもしれませんし、西洋料理だと「デミグラスソース」も怪味的要素がある気がします。
まあ、簡単に言えば、とにかく言葉では表現しづらい複雑な味を”怪味”というわけです。
“怪味”は、数年前にも日本でブームになりそうな感じでした。
怪味を表現したソース「怪味ソース」を売り出したメーカーもありましたが、不発に終わった印象です。ハッキリしない味があまり受け入れられなかったんでしょうかね?
実際、僕も怪味ソースを買って試したりしましたが「なんだかよくわからないなー」で終わりましたし。(それこそが”怪味”なんでしょうけど。)
怪味の定義はない?
なので、結局「怪味」の定義はなく、人によっても怪味の解釈や感じ方はそれぞれなので、怪味については曖昧な説明しかできないんです。
まあ、だからこそ “怪味” なんでしょうけど(笑)
その曖昧な味わいに、喜びやおいしさを感じるかどうかは人それぞれですが、”怪味”と”ブレンド”というものには、共通性があると思うんです。
コーヒーもブレンドしておいしさを引き出したりしますし、僕の七海涼辛子®も7種類の唐辛子のブレンドです。
ブレンドというものは、単に色々混ぜればいいというものでもなく、ブレンドのバランスが調和したときに素敵なハーモニーが引き出されます。
なので、怪味とブレンドは似たような面があるかもしれません。
怪味は、味の交響楽団なんです。(ちょっと無理やりかな?)
麻婆麺は怪味なのか?
「麻婆麺のどこが”怪味”だよ!」と思われる人もいらっしゃるかもしれません。
確かに、町中華から生まれた日本の「マーボー麺」は、元々は醤油ラーメンに日本式マーボードーフを乗せただけのシンプルな料理です。
元々は麻婆豆腐と醤油ラーメンの両方の味が楽しめる、一挙両得(?)な料理です。
僕にとって麻婆麺は、四川麻婆豆腐マニアになる以前から好きだった僕の原点の料理と言っても過言ではありません。
僕が15歳くらいの頃、所属していた芸能事務所の社長によく連れて行ってもらっていたお店(所謂街中華のお店)にマーボー麺がありまして、それにハマりました。僕はそのお店に行くたびに必ずマーボー麺を注文し、テーブルに置いてあったラー油を1瓶全部投入していたので嫌がられていました(笑)。 その店はもうありませんが、そこで麻婆麺にハマってからは、メニューに麻婆麺があるお店では必ず麻婆麺を頼むようになっていました。
僕にとってはそんなノスタルジックな麻婆麺ですが、最近では巷は麻婆麺ブームとも言えるような感じになってきて、多種多様な麻婆麺が登場してきました。
さらには、コンビニの弁当でも麻婆麺が登場したりすることもあります。
そして近年、本格的な四川式麻婆豆腐が日本でも受け入れられるようになってきて、四川風麻婆豆腐ベースの麻婆麺を作るお店も増えてきました。 (ここ10年くらいですかね)
もはや街中華だけではなく、本格的な四川料理店などでも麻婆麺を提供する店が出てきたり、独自にアレンジするお店も出てきました。
さらには麻婆麺専門店までも出てきてます。
わざわざ麻婆麺に特化したお店を出すなんて、それだけ麻婆麺に魅力と需要があるからこそなのでしょう。
麻婆麺専門店のお店のシェフやオーナーは、元々は中華料理のシェフだったとか、フレンチのシェフだったとかいう人が多い気がします。
中華料理のお店が麻婆麺専門店を出したりとかもありますし、「麻婆麺をメインでやってみよう!」と、思わせるだけの魅力が麻婆麺にはあるという証だと思うんです。
で、その麻婆麺の魅力というのが、実は「怪味」にあるのではないかと僕は思っています。
全ての麻婆麺が怪味ではないのですが、進化した麻婆麺は特に怪味的要素を含んでいるのです。
一般的な(所謂町中華の)昔ながらの麻婆麺って、なんとなく味わいが想像できます。もちろん、そのようなシンプル麻婆麺も僕は大好きです。
でも、麻婆麺を食べ歩くうちに、実に様々な味があることに気づいたのです。
麻婆麺は、時代と共に多様化してきていて、麻婆餡一つとっても日本式の甘いものから四川式の本格的な麻辣なものまでありますし、スープにこだわっていたり、ラー油にこだわっていたり、スパイスにこだわっていたり、豆板醤にこだわっていたりと、お店によって様々です。
麺も、細麺、太麺、刀削麺、手打ち麺など、多種多様。
肉だって、鶏肉、豚肉、牛肉、合い挽き等さまざまで、下味をつけて炒めた肉(炸醤)を使うお店もあれば、茹でただけの肉を使うお店もあります。
スープも、丸鶏スープを使う店、魚介豚骨のスープを使う店、味噌を使う店、昆布出汁などを使う店、スープ少なめの店、スープを入れないお店など色々。
トッピングも、青ネギ、白髪ネギ(長ネギ)、海苔、チーズ、花椒、ラー油、チャーシュー、背脂、酢、納豆、トマトなど様々です。
その様々な要素が怪味を出すんだと思います。
僕の基本の麻婆麺の食べ方は、まずは麻婆かスープ(ある場合)をどちらか先に味わって、次に麻婆餡と麺を一緒に絡めて食べ、最終的には麺とスープと餡が一体になるようにかき混ぜ、最終的にはラー油などを投入して味変を楽しみ、最後は追い飯して食べる、のような感じです。 まあ、最後の追い飯はダイエットの関係であまりやりませんが(笑)。
そうやって麻婆麺を食べていくと、色々な味を楽しめますし、最後には複雑な味わいになってくるんです。
ネギの苦味や辛味だったり、スープの旨味や塩味だったり、唐辛子の辛味や旨味、花椒の痺れ、麺の甘味や食感、肉の甘味や旨味、ラー油の旨味やスパイスの香り、豆腐の旨味や食感などなど、そういういろんなものが複雑に絡み合います。
そして、いい具合にバランスが取れた時に”怪味”という不思議な旨味が出てくるのです。(全ての麻婆麺に当てはまるものではありませんが)
この複雑な味わいは、近年流行している“まぜそば”と似たものがあるかもしれません。
名古屋の台湾まぜそばとか、東京の油そばとか、二郎系のまぜそばとかは、いろんなものをトッピングしてぐちゃぐちゃに混ぜて食べますよね。マヨネーズとかラー油とか酢とかベビースターラーメンとかカレーパウダーとか魚粉とか海苔とかニンニクとか胡椒とか、いろんなものを入れて混ぜて食べます。
そうすると、ジャンキーでなんとも言えない味、でもまた食べたくなるおいしさになるんです。あれも怪味の一種なのではないかと思います。
昨今の麻婆麺には、それらと同じ魅力があると思うんです。
まぜそばの元祖的お店は『ジャンクガレッジ』だと思いますが、麻婆まぜそばの元祖的存在は、僕の知る限りでは東京の東陽町にある『らぁ麺やまぐち辣式』だと思います。 今回『らぁ麺やまぐち辣式』の麻婆麺は番組で取り上げることはできませんでしたが、あそここは麻婆まぜそばが看板メニューのお店です。 並ぶのが大嫌いな僕が、並んでまで食べたんですよ・・・。
その『らぁ麺やまぐち辣式』の1年後くらいに開業したのが、川崎の『麻ぜろう』です。
川崎でライブがあった時に、川崎の街をふらつき回っている時にたまたま見つけたお店です。
『麻婆まぜそば 麻ぜろう』という店名が僕を誘ってきたんです。
怪味の代表格? 川崎の”麻ぜろう”の麻婆まぜそば
神奈川県の川崎にある麻婆まぜそば専門店『麻ぜろう』は、カレーにも似た複雑な味わいが魅力です。
提供された時点で既に豆腐は原型をとどめておらず、ミックススパイスが沢山振りかけられていて、お肉はチャーシューと蒸し鶏の2種類が載っていたり、生の長ネギスライスに半熟卵!
なので、もはや見た目の麻婆麺感はありません。
ここの麻婆まぜそばは、まさに”怪味”だと思うんです。(これはマツコさんにもわかっていただけました。)
辛さは大したことはないのですが、香辛料のおかげで滲み出てくる汗も相まって、サウナ効果と怪味の相乗効果により極楽へ・・・・。
さらに、ここのラー油(極辣油)がまた美味しいんです。
唐辛子が美味しい!ラー油を作るときの熱で揚がった唐辛子の風味が非常に香ばしく、ダイエットを気にしなければたっぷりかけまくりたいです。大豆油使用でクセもなく、砂糖や塩などで味付けをしていないものあって、色々な食べ物に合います。
『麻ぜろう』は、『らぁ麺やまぐち辣式』と並んで、”ネオ麻婆麺”の代表格かもしれません。
新潟の “らー麺天心”の麻婆麺はエンターテインメントだった!
新潟の南魚沼(湯沢)の”天心”の麻婆麺は、進化系麻婆麺の代表格ではないでしょうか?
いや、進化系麻婆麺というよりも、理想的完成形の麻婆麺ではないかと思います。
天心の麻婆麺については別記事で詳しく書いてますが、あそこまでヘルシーで美味しくてしかも無化調な麻婆麺はなかなかないと思います。
麻婆麺は一つのジャンルだ
今や、麻婆麺と一言で言っても、色々な麻婆麺が存在します。
カレーと同じですね。一言でカレーと言っても、日本式カレーとインド式カレーは全く別物ですし、色々なバリエーションのカレーがあります。
それと同じように、麻婆麺はラーメンという括りから離れて、一つの「麻婆麺」という料理のジャンルになってるんじゃないかと思うんです。(大袈裟すぎですかw)
もはや麻婆麺には “こうでなくちゃいけない” というセオリーはないです。
というか、もともと料理にセオリーはないですけどね。
料理は、最終的に美味しければなんでもいいんです。
麻婆麺を出すお店は意外に沢山ある!
今回、あらためて、麻婆麺を出す店は意外に多いと感じましたし、麻婆麺がブームのような盛り上がりを見せていることも改めて感じました。
しかし、麻婆麺を食べたことのない人はかなり多いことも知りました。
番組では紹介できなかった麻婆麺の名店は沢山あります。
是非とも紹介したいと思ったのに、紹介できなかったお店もありました。
「なんであの店は紹介したのに、あの有名店は紹介しないんだ?」とか「麻婆麺といえばあの店は外せないだろ!」などという意見も多々あるかもしれません。
最初は色々なお店を候補に上げました。(まあ、関東と新潟限定ですが)
でも、番組内容においてのバランスとかもありますし、お店の方からお断りをされたり、枠の関係とか、大人の事情とか(笑)色々あるわけなんですよ。
しかし、麻婆麺の魅力を少しでも視聴者の方に伝えられるように、基本の味から、変わったものまで幅広くご紹介できたのではないかと思います。
なので、今回番組で紹介したお店が、必ずしも僕のイチオシというわけではありません。
「番組で紹介されたお店に行ってみたけど、口に合わなかった!」などと言われても困りますしね。
味の好みは千差万別十人十色ですからね。
例えば、生のきゅうりを「美味しい、美味しい」と言ってボリボリ食べる人がいれば、吐きそうになる人もいます。 それくらいに人の味の好みは人それぞれ全く違ったりします。
料理に正解も完璧もありません。 それは音楽も、絵も、いや、世の中のもの全てに言えると思います。 それをあれこれ議論しても仕方ありませんし、人に押し付けるつもりもありません。
美味しいと思った好きなものを食べればいいんです。
時には誰かに「これめちゃくちゃ美味しかったよ!」と教えてあげるのもありですし、その人に「えー、全然美味しくなかったよ」と言われるかもしれません。 それは仕方ないことです。
美味しくないと思ったなら次から食べなければいいですし。でも、そういうのを知ったり探したり、情報交換したりするのも楽しいと思いますし、そういうのも含めて楽しむのがグルメの世界であり、エンタテインメントだと思います。
今や、昔と違って色々な情報が世の中に溢れてます。
色々な情報を参考にしつつ、美味しいものを探して食べ歩くのもまた楽しみの一つだったりもします。
番組での情報も参考にしつつ、ぜひ身近な麻婆麺を探してみてください。
身近な麻婆麺を食べてみましょう。
番組をご覧になって麻婆麺に興味を持たれた方!
特に、今まで麻婆麺を食べたことがないという方!
早速、身近(近所)にある麻婆麺を探して食べに行ってみてください。
例えばgoogleで『自分の住んでいる地名+麻婆麺』で検索してみてください。 麻婆麺を出しているお店って、意外と身近にあるかもしれません。
「え?あの店に麻婆麺があったんだ?」などと新しい発見もあるでしょう。
そして色々食べていくうちに、麻婆麺の不思議な魅力にハマるかもしれませんよ。
実際、番組のスタッフやディレクターも、今回の企画で麻婆麺にハマってしまったりしています。
「この企画で生まれて初めて麻婆麺を食べたんですが、ハマりました!」と、わざわざ伝えに来てくださった番組スタッフもいらっしゃいました。
まあ、都内とかでも麻婆麺を食べられるお店って意外に少ないですからね。
仮に初めて入ったお店で麻婆麺がメニューにあったとしても、看板メニューじゃない限りはいきなり麻婆麺を注文する人は少ないでしょうしね。
でも、この番組をきっかけに麻婆麺に興味を持ってくださる方がいれば嬉しいですね。
庶民的なものから高級なもの、アレンジものなど、探すと色々な麻婆麺があります。
仮に、初めて食べたお店の麻婆麺がお口に合わなかったとしても、ぜひ他にも何軒か食べ歩いてみてください。
今や、麻婆麺は多種多様。 きっとお好みの麻婆麺に出会えるはずです。
ポイントは、「どんな食べ方をしてもいいけど、最終的には混ぜ混ぜして食べる」です。
スープがある麻婆麺は、最初はスープと麻婆を別々に味わってから、途中まで食べたらしっかり混ぜて食べてみてください。そして、可能であれば、色々なトッピングや味変なども試してみてください。
麻婆麺の世界がどんどん広がっていきます。
一人でも多くの人に麻婆麺の魅力が伝われば嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ポッカサッポロの『カップdeクッキング麻婆豆腐の素』
カップ入りで、豆腐を用意するだけで電子レンジで手軽に作れる麻婆豆腐ですが、
これに、中華麺を入れるだけで、あの街中華のマーボーメンが再現できます〜!!!
そうそう、麻婆豆腐も忘れちゃいませんよ!
僕が麻婆豆腐のお店を紹介している本です。⬇︎
藤崎涼プロデュースの唐辛子調味料「七海涼辛子®」もよろしくお願いします!
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