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“麻婆麺” 『らー麺 天心』(新潟)はエンタテインメントだった。

天心 麻婆麺 お勧め
※2023年6月7日追記
以下の記事は、2022年7月に訪問した時のものです。
現在、"らー麺天心"さんの麻婆麺は、僕が訪問した時のものとは変わっていて、さらにブラッシュアップされているようです。ただ、僕はまだ未食なので、そのうち食べに行きたいと思っております。
ということで、僕が書いたレポートは今は当てはまらないかもしれませんが、「以前はこういう感じだった」という参考として残しておきます。

尚、魚沼市石打(ツインタワー石打)のお店は2023年8月いっぱいで移転が決まっているとのことです。
以前、お店があったところ(同じ町内)に戻り、2023年秋に再オープンとのこと⬇︎

らー麺 天心 (石打/ラーメン)
★★★☆☆3.13 ■予算(昼):¥1,000~¥1,999
このレアなスキー場のお店は2023年8月いっぱいまでです。 急げ!笑 また、何か分かりましたら情報をアップデートします。
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日本一ヘルシーな麻婆麺を見つけた!

先日、TBSの”マツコの知らない世界(麻婆麺の世界)” のロケで『麻婆麺』を食べに新潟に行ってきました。
「麻婆麺を特集するなら、新潟は外せないだろう」ということで、新潟にロケに行くことになったのです。

僕は個人的に新潟の麻婆麺(麻婆豆腐も)は食べ歩いたことがあるのですが、今回は僕がまだ食べたことがない「行ってみたかった店」に行くことになったのです。

そこで、衝撃的な麻婆麺に出会ってしまったのです。
番組ではさらっと食べるところくらいしか紹介されないと思いますが、僕は個人的に感銘を受けたので、ぜひ改めてブログで紹介したいと思いました。

なぜ新潟が “麻婆麺の聖地” なのか?

新潟県はラーメン大国と言われていて、外食でラーメンにかけるお金が全国1、2位を争うほどなんだそうです。 その理由というのが、”新潟は米どころであり、美味しいお米は普段から家でも食べているので外食では麺を食べに行く”んだとか。 まあ、取ってつけたような理由な気もしなくはないですが、納得できますよね。
実際、新潟には”5大ラーメン”と呼ばれているものがあります。
新潟市の『あっさり醤油ラーメン』と『濃厚味噌ラーメン』、燕市の『背脂煮干ラーメン』、長岡市の『生姜醤油ラーメン』、三条市の『カレーラーメン』です。

あれ?『麻婆麺』は入っていませんね。

じゃあ、なんで”麻婆麺の聖地”なのか?

新潟県内で麻婆麺が目に見えてブームになったのはここ5年くらいのようですが、麻婆麺自体の発祥も新潟だと言われていて(諸説あり)、その流れもあるのか新潟には昔から麻婆麺が当たり前のようにメニューにあるお店が多かったようです。
新潟出身の方に聞いたのですが、「中華料理店(ラーメン屋)のメニューに麻婆麺があるのは普通だと思っていた」とか。 なのでブームになる以前から麻婆麺は新潟に自然と根付いていたのだと思われます。
その、新潟の麻婆麺の発祥と言われるお店はもうないのですが、僕はその弟子さんのお店や、麻婆麺を新潟に広めるきっかけとなったお店、進化系である四川麻婆系の麻婆麺などを食べ歩いたこともあり、確かに東京よりも麻婆麺が浸透していると感じました。

もちろん東京にも昔からマーボー麺を出すお店はありました。
新潟と同じく、醤油ラーメンに日本式の甘めのマーボードーフをかけたシンプルなものが主流ですが、どこにでもあるわけではなく、今では “町中華”呼ばれているようなお店くらいでしか食べられなかったですし、町中華のお店でもマーボー麺を出すお店は少数でした。なので、東京でもマーボー麺に慣れ親しんできた人は少ないかと思われます。
僕が昔から慣れ親しんできた麻婆麺はそういう、”醤油ラーメンに日本式の甘めのマーボードーフをかけたシンプルな”マーボー麺でした。 僕が通っていたお店はもうありませんが、そのノスタルジックな麻婆麺は、品川の”大元”や川崎のニュータンタンメン本舗京町本店の麻婆麺あたりが僕にとってのスタンダードな麻婆麺の位置付けとなっています。

しかし、昨今の麻辣ブームの影響もあってか、東京にもここ数年で進化系(四川麻婆寄りとか)の麻婆麺を出すお店が増えてきましたし、新潟からも麻婆麺を出すお店が進出してきたりしています。
さらに、麻婆麺のカップ麺が発売されたりもして、裏メニュー的存在だった麻婆麺はだんだんと認知度を増して全国に浸透してきていると思います。 コンビニエンスストアでも麻婆麺の弁当が出たりしてますしね。

ここ数年で新潟にも”進化系”の麻婆麺を出すお店が増えていて、「麻婆麺」は新潟の第6のご当地ラーメンと言ってもいいくらいになっていると思います。しかし、その味や種類はさまざまになってきていますので「これが新潟麻婆麺だ」という定義が難しくなっているかもしれませんね。今回紹介できなかった新潟の『龍馬軒』も進化系の麻婆麺ですが、美味しかったです。


麻婆麺は元々は醤油ラーメンにマーボードーフをかけただけのシンプルなラーメンなので、新潟や東京のみならず、他の地域でも「麻婆麺」は昔からあったよという話もあるかもしれません。しかし、新潟は他の地域よりも麻婆麺が浸透しているのは間違いないようですし、発祥の地とも言われているので、僕はあえて”聖地”と呼んでいるのです。

新潟の、進化系ネオ麻婆麺

新潟にも色々なタイプの麻婆麺があり、もはや新潟麻婆麺の定義はないような感じになっています。
昔ながらのシンプルな麻婆麺、四川風の麻婆餡を使ったもの、背脂のトッピングが乗ったものや、担々麺とミックスしたもの、チーズをトッピングしたり、基本スープにおいても魚介系、味噌系、豚骨系、鶏ガラ系、汁なし系、横浜家系風など、様々な麻婆麺が登場しています。

そんな中で、色々な意味で進化を遂げた、究極とも呼べる麻婆麺に出会いました。
進化と言っても、基本を残しながら良い方向に独自の進化を遂げているのです。
それが新潟県南魚沼市石打(湯沢)のラーメン店『らー麺 天心』の麻婆麺です。
ここは以前から行ってみたかったお店で、今回のロケで僕が候補として提案させていただき、訪問が実現しました!


簡単には辿り着けない店 『らー麺 天心』

実際に行ってみて、『天心』には色々な衝撃を受けました。

まず、お店がめちゃくちゃわかりにくい場所にある上に、営業時間が昼間の3時間だけしかないんです。以前は夜の営業もされていたようですが、僕が訪問した時は夜は営業してないと言ってました。

噂には聞いていましたが、”天心”は、お店に辿り着くのが大変でした。
看板はどこにも出ていないし、店の電話番号も公表されていないので、辿り着けなくて帰る人も多いのだとか。

僕は、実際に行ってみるまで「いやいや、この時代に店までたどり着けないとか、ないでしょ!」と思ってました。しかし、多分自力では辿り着けなかったはずです。
実際、ロケ隊も思い切り迷ってました。 住所もわかっているし、カーナビもその住所まで案内してくれるのに、そこに店が見当たらないのです。 

そこにあるのは、複雑な造りの巨大なマンション! バブル期に建てられたものでしょうか?

麻婆麺感ゼロ!

ツインタワー石打
Googleストリートビューより

公表されている住所では、建物名も合っているし、この建物で間違いはないようです。
ここの9階に店があることになっているんですよ。マンションの1室をお店にしているのだろうと思いました。
しかし、看板や表札はどこにもないし、しかも入り口はオートロック
みんなでしばらく悩んでましたが、撮影スタッフは店主の電話番号を知っていたので、連絡をとり、やっと入ることができました。 
結局、入り口はここ⬆︎ではなかったんです。表玄関ではなく、裏口から入るんです。

このマンションの裏口はスキー場のゲレンデになっていて、カーナビは案内してくれないんです。
グーグルナビでも、表玄関までのルートを案内されました。

その裏口?というのがこれです⬇︎

全然裏口には見えませんね。むしろこっちの方がメインの入り口にも見えますが、こちら側はスキー場のゲレンデ側になるんです。
住所では、お店は9階にあることになっていますが、ゲレンデ側から見た場合は1階の部分にお店があるんです。どういうことか?
このマンションはスキー場横の斜面に建っているために、この⬆︎1階の部分が9階に位置するわけです。 なので、建物の反対側からみると、この1階部分は9階なんです。
面白すぎる!

やっと見つけた!と思ったら、入り口にはでかでかと『レストラン イング』と書かれているので、さらに惑わされるんです!
その『レストラン イング』の入り口の自動ドアまで行って初めて「ラーメン天心 営業中」の小さな張り紙が貼られているという状態なのです。

入り口を入るとこんな感じ。

天心店内

この雰囲気、全然麻婆麺感はありませんね。
ここは、元々はスキー客向けのゲレンデレストランなので店内がめちゃくちゃ広いんです。(本来のキャパは500人くらい?) まさかラーメン専門店だとは夢にも思わない感じ。

しかし、見つけた時の喜びたるや! 
店主によると、そんな喜びも味わってもらいたいのもあって、あえて看板もまともに出していないんだとか。 エンターテインメントですねぇ。
あとは、「本当に自分の料理を気に入って、わかってくれる人に食べてもらえればそれでいい」という考えもあるのかもしれません。
商売ではなく趣味で好きな料理を研究して出しているという感じですね。

店の前に広がる南魚沼市の景色(店内からは見えない)
目の前がスキーのゲレンデです。リフトとかもあります!  ちなみに、僕はスキーやスノボは一度もやったことありません。

こんなロケーションにあるラーメン店!!!
期待に胸が膨らみます。

冬季は、スキー客向けのレストラン『イング』として営業するので、『らー麺 天心』が営業するのは雪が降るまでの間なのです。

華麗なる経歴を持つ巨匠が辿り着いたのが麻婆麺だった!?

『天心』のご主人のお師匠さんは中国料理のシェフだったそうです。
(お名前を出していいのかわからないので、ここではあえて『店主』を”ご主人”と呼ばせていただきます。)
ご主人は東京の高輪のホテルで修行をし、南青山でフランス料理のシェフを務めたり、財界のVIPのお抱え料理人を務めたり、総理大臣に指名されて料理を作ったりもしていたそうです。 あの新潟の有名な元首相をはじめとする名だたるV.I.P達に!

それ「巨匠」のレベルですよね。

さらに、ご主人のお孫さんはソチオリンピックのスキーの銅メダリストなのです。
ちなみに、僕の妹もオリンピックのメダリストなんですよ。ここだけの話。

そんな巨匠が、なぜにラーメン店を? 意外ですよね。
おそらく、頼まれて作る料理ではなく、自分の理想の料理を作りたくて、ラーメン店を始めたんだと思います。

ご主人のお話をお聞かせいただくと、本当に料理に情熱とこだわりを持った方だということがわかります。料理が生きがいであり、趣味であり、職業でもあるという、理想的な人生をおくっていらっしゃるんですね。
僕も色々好きなことをして生きてはいますが、収入が全然伴ってないので余裕はないです(笑)。頑張らなきゃ。


お店の営業中は配膳のスタッフの方がいらっしゃるものの、仕入れから仕込み、調理まで全てご主人がお一人でこなしています。

日々、色々と料理を研究したりしているのでメニューはちょくちょく変わるようですが、その中で唯一ずっと続けているのが麻婆麺なんだそうです。

常連さんからも「麻婆麺だけはやめないで欲しい」との声が多いんだとか。

華麗なる経歴を持つ料理の巨匠が辿り着いたのが麻婆麺だったんです! 


究極のネオ麻婆麺に出会った。

やっぱり、ここの麻婆麺は曲者でした!!!!

とにかくご主人のこだわりが半端なさすぎるんです。

これが麻婆麺です。⬇︎

麻婆麺の常識を覆すようなこのヴィジュアル。
というか、見た目は全く麻婆麺には見えません。
まず、こんなに野菜がのってる麻婆麺は今まで見たことがありません。
しかもポテトチップスまで乗ってるじゃないですか!
このポテトチップスは、地元産のじゃがいもをご主人がスライスして揚げているとの事で驚きました。

しかし、ポテトチップスを自分で揚げているというのは、まだまだ序の口だったのです・・・・。

料理は見た目も大切。だって料理はエンターテインメントだから

まずは見た目から驚かせてくれるこの麻婆麺。 色彩豊かです。

右側のレモンスライスのように見えるのは黄色いズッキーニだそうです。

オレンジ、緑、黄色、白などのカラフルな野菜にラー油の赤と唐辛子の赤。 そして、油の光沢具合がそそります。

僕は、四川麻婆豆腐マニアなんですが、麻婆豆腐はまず色合いに注目します。(最終的には味ですけど。)
四川麻婆豆腐って、ラー油の赤、豆腐の白、葉にんにくの緑、豆板醤の黒や茶色のコントラストがそそるんです。
なので、僕が麻婆豆腐のお店を探す時は料理の写真を見て選ぶことが多いです。四川麻婆豆腐は写真でなんとなくの味を想像できるんです。
しかし、最近ではネットで拾ってきた美味しそうな写真をメニューや看板に使ってるお店もあり、メニュー写真と実際の料理が詐欺レベルに違うというのも多く経験しているので、侮れません。なので、お店のメニュー写真よりも、グルメサイトなどにお客さんが投稿している実物の写真を見た方がいいです。

料理って、最終的には美味しければなんでもいいとは思うんですが、見た目も良いにこしたことはありません。
見た目、香り、味や、音など、そそる要素が多ければ多いほど感動も増えるってもんです。
まさに料理はエンターテインメント。

だけど、麻婆麺に関しては、写真だけではあまり味が想像できないんです。
麻婆麺には、今や色々なバリエーションがあります。純日本式マーボー麺から四川系やネオ麻婆麺など、さらには麻婆麺には定義がないので、麺もスープも具もさまざまなんです。 だから味もさまざま。

特に、この天心の麻婆麺は、見た目では全く味の見当がつきません。
もしかして麻婆の味はしないんじゃないだろうか? もはや別の食べ物なんじゃないだろうか? 
なんて思ってしまうほどです。

さらには生野菜が沢山乗っているので、生野菜があまり好きではない僕は「食べられるだろうか?」と心配しました。 しかし!そんな不安は食べ初めるとすぐに消えてなくなりました。

麻婆麺と野菜を混ぜ混ぜしたら、野菜の味がしっかり麻婆麺に調和しました。 そう、野菜にクセがないんです。 ネギひとつとっても苦味が穏やかだったりと、おそらく野菜本来の味がしているんでしょうね。

優しい味の野菜

僕は、野菜嫌いだとは言っても毎朝の無塩100%野菜ジュースは欠かしませんし、食事の前にはなるべく野菜サラダを食べるようにはしています。 しかし、100%野菜ジュースはなぜか美味しく飲めるんですが、生野菜サラダに関してはドレッシングを沢山かけて野菜の味をなるべく消すように食べたりしているんです。
僕は、野菜は健康のために無理やり食べているところがあって、「野菜が美味しい」と感じることはありませんでした。

なので、この麻婆麺に乗っている生野菜は、麻婆の味の邪魔をするんじゃないか?なんて思ってました。

でも、そんなことはありませんでした。
麻婆麺にしっかりと調和している!
採れたての旬野菜なので、味が優しいのではないかと思いました。

ご主人は「スーパーで売られている野菜じゃダメなんだ」とおっしゃっていました。おそらく、市場とかを通しているうちに新鮮じゃなくなるということなのかな? 
だから、ご主人が早朝に農家をまわって、新鮮な無農薬野菜を直接仕入れているんだそうです。
なので、麻婆麺のトッピングの野菜は、その時期や仕入れによって変わるっぽいです。旬野菜ですね。
パイナップルや柿が乗ることもあるんだそう。ええ〜〜っ?(想像できない・・・)

市販の調味料は使わない

ここの麻婆麺は、いうまでもなく旨味調味料(化学調味料)や市販の中華スープのようなものは使っていません。
ご主人曰く、市販の調味料が嫌いなんだそうです。
なので、調味料までも全部手作り。
だから仕込みに時間がかかり、3時間しか営業できないわけなんですね。

油まで自分で作っている

天心の麻婆麺は、3種類の油が使われた麻婆餡で蓋をされるので、麺がいつまでも熱々なんです。
湯気は全然出ていないのに、麺をほじくり出して食べたら超熱々でした。 油断して食べたので、一口目で口の中を火傷し、皮がむけてしまいましたよ。

油は、ご主人が名付けたオリジナル油『香香油(かかゆ)』をはじめとする3種類の油が使われています。
特に『香香油』が一番のポイントで、豚から特別な方法で抽出した油(脂)なんだそうですが、この香香油を作る(抽出する)にはかなりの危険を伴うんだとか・・・。 誰にも真似できない作り方だそうです。
僕も、『香香油』が風味に影響するかなりの重要なポイントになっていると感じました。

3種類の油を使っているのにくどくないのは、油が手作りだというのと、沢山の野菜との調和のおかげだと思うんです。
僕は今まで、麻婆豆腐や麻婆麺をヘルシーだと思ったことはありませんが、この麻婆麺はヘルシーだと思いました。

他にはない、唯一無二のヘルシー麻婆麺

この麻婆麺の味の感想を書くのは難しいです。
かと言って、特異なものでもなくちゃんと麻婆っぽい味や中華の基本のような味もするけど、色々な食材の複雑な味わいも同時にやってくる。
いや、なんと表現すればいいんだろうか? 
あ!それこそが”怪味”なんですよ。

怪味(かいみ・ガイウェイ)と麻婆麺
僕が出演したマツコの知らない世界 『麻婆麺の世界』の中で、麻婆麺を"怪味(かいみ・ガイウェイ)"と表現する機会があったので、改めて"怪味"について考えてみたいと思います。 番組では伝えきれなかった補足もあわせて、この記事を書きました。 トッ...


もうね、単純に「美味しい」と「熱い」の言葉しか出てこないです。
ネットの食レポとかでも”複雑な味”と書いている人が多いです。

程よい甘味も感じられるのですが、砂糖は一切使われておらず、その甘味の秘密は、”米麹”なんです。
麻婆麺に米麹を入れようなんて、普通は思いつきもしませんよ。しかも南魚沼といえば超有名な米所!その地元の美味しいお米を使って米麹まで作ってるんです。
ちなみに、お米もご自分で育てているとおっしゃってました。 どんだけ・・・・

見ただけ、食べただけはわからない様々なこだわりがこの麻婆麺には詰まっています。

もう、呆れるくらいすごい。

手作りラー油も美味しい

しかも、ここの自家製ラー油がめちゃくちゃ美味しいんです。 
そのラー油に使われている丸ごとの唐辛子が麻婆麺の中にも入ってたりするんですが、その丸ごとの唐辛子の味がこれまた絶品! 辛味は抜けているので辛さは弱いです。辛味は抜けているけど、風味は抜けていません。唐辛子の風味は唐辛子の中に残りつつも、ちゃんと油にも風味が出ています。

天心の麻婆麺はそれほど辛くないのですが、熱々なのも相まって汗が噴き出してきました!
何せ、一口目で口の中を火傷して皮が剥けてしまいましたから。

“怪味”と美味しさに、さらに熱さと汗が伴って、極楽気分になれたのでした。

大して辛くはないけど

ちなみに、天心の麻婆麺は、辛さ調節には応じてくれません。 
しかし、この麻婆麺はもっと辛くしたいなどと考える事さえも忘れてしまうほどでした。

昨今、激辛マニアの欲求に対応するべく、キャロライナリーパーやトリニダードスコーピオンなどの超激辛唐辛子を追加するお店などもありますが、超激辛系唐辛子は風味のクセが強かったりするので、料理の風味を壊したりするんですよね・・・。(あの風味が大好きな人なら問題ないんでしょうけど)

辛さは、簡単にいくらでも辛くできますが、旨さは「いくらでも旨く」ってわけにはいかないんです。

メニューの横に書いてある、店主からのメッセージ。

“辛くして”とか”麺固め”とか”油多め”とか”味濃いめ”とか(家系ラーメンか!)の注文には応じられないということですね。要は、ご主人の納得するバランスの味で出しているので、調整により味が変わってしまうのを恐れていらっしゃるのかもしれません。

一応、自由に入れられる調味料として、ラー油や七味唐辛子などの調味料などは置いてありますが、どうしても麻婆麺に何かを追加したいならラー油だと思います。
でもこのラー油は最初から麻婆麺に入っていますし、油が好きな僕でさえこれ以上ラー油は追加しなくてもいい思うんです(笑)
しかし、追加してしまいたくなるほどにこのラー油がまた美味しいんです。 ラー油に入っている唐辛子が特に美味しいもんで、僕はついつい”追いラー油”をしてしまいましたよ・・・。

以前は生ニンニクが置いてあって自分で潰してラーメンに入れられるようになっていたらしいのですが、撮影用のために営業時間外に行ったからなのか、コロナの関係なのかわかりませんが、置いてありませんでした。 

この麻婆麺、生ニンニクを追加して食べたら昇天間違いなしです。
でも、ニンニクも実は最初から入っているようなんですけどね。(たまにニンニクの風味が感じられます)

さらには、食べてるときはあまり感じられませんが、花椒も入っています。(スープを飲み干す時に花椒の風味に気付きました。)
花椒は、流石にご主人がご自分で育ててはいないようですが(笑)、でも、花椒の実をご自分で焙煎してから使っているらしいです!

ご主人は、できることは全部自分でやらないと気が済まない性格なのかもしれませんね。

調理に時間がかかるのは仕方ないが

天心は、ラーメン専門店です。
麻婆麺の他に、麺印度(カレーラーメン)、異味麺(醤油と塩のハイブリッドラーメン)という3種類のラーメンを提供されてます。 (2022年7月16日現在)

お一人で調理されているので、提供には時間がかかります。ましてやお客さんが沢山入っている時であれば尚更です。 
でも、3種類ほどの野菜の惣菜や漬物などが食べ放題になっていて、それを食べながら待つことができます。 (それだけでお腹いっぱいになってしまいそう!)
しかも、その野菜の料理もご主人が早朝に農家まで行って仕入れてきて、一から調理されているのでした。 もう、何でもかんでも一人で一から作っていらっしゃる。

ご主人は朝5時に農家に野菜を仕入れに出向き、それから仕込みを始めて、お昼の3時間だけ営業するんです。  営業終了後は家に帰って寝るというわけでもなく、閉店後もさらに仕込みの時間に充て、家に帰るのは夜中の12時頃になるそうです。 そして、朝5時にはまた仕入れに出かけるという・・・。
もう、料理が趣味になっているんでしょうね。

ラーメンや野菜料理だけでなく、チャーシュー(煮豚だったかな?)や、餃子(小南包)やデザート(僕が行ったときはプリンが2種類)まで何でもかんでも手作りされていて、それを全部自分で仕込んでいるなら、そりゃ3時間しか営業できないよな・・・って納得しました。
でも、「1日3時間だけの営業なんて、楽な商売だね」とか言われるそうですよ。

可能な限りなんでも一から手作り

ご主人は「市販品は嫌いなんです」とおっしゃっていて、調味料から出汁までが全て手作り。ラー油や調味油まで! もちろん化学調味料は一切使っていません。
以前は麺までもご自分で手打ちしていたらしいですが、流石にそこまでやるとお店を営業する時間さえもなくなってしまうそうで(笑)今ではスープに合わせて考えた2種類の麺を東京の製麺所に発注しているのだとか。
豆腐は流石にご自分では作っていらっしゃらなかったですが、豆腐も地元の豆腐店の新鮮なものを使用。 

使っている食材は、野菜を中心にほぼ全部地元のものばかり。 豚肉とかも地元産のものらしいです。でもカレーラーメン(麺印度)の肉には三重県の松阪牛(牛すじかな?)を使っています。!それはそれですごい!

地元愛が強いとかそういうわけでもなく、店主曰く「料理を作るなら、可能な限りその土地の食材を使うのがいいんですよ」ということ。
野菜を市場やスーパーに買いに行くわけではなく、農家から朝イチで採れたてを直接仕入れてくるので本当に新鮮な食材が手に入るというわけですね。

麻婆麺のお値段は?

メニューの文字もアートです!!!

麻婆麺は1,000円です。
高い? いいえ、この内容とか手間とかを考えると安いです。
しかも、手作りの野菜料理も食べ放題なんですからね。
むしろこの料理が1,000円で食べられるのがありがたいくらい。
世の中には3,000円とか5,000円するラーメンを出しているお店もありますが、むしろこの麻婆麺こそそれくらいの価値があると思います。 いや、でもその価格になったら困ります!(笑)

価値観は人それぞれですが、僕は1万円のコース料理を食べるくらいなら、東京から新潟まで車で行って1,000円のこの麻婆麺を食べます。 僕は新潟くらいなら一般道で車で日帰り往復するので、かかるのは燃料費だけ。1万円で余裕でお釣りがきますよ。その代わり半日がかりですけどね。
(というか、1万円のコース料理を食べる機会も余裕も僕にはありませんがw)

ちなみに、麻婆麺には大盛りもあって1,200円です。 僕は大盛りは食べたことも見たこともないので、どれくらいの量なのかは見当がつきませんが、普通盛りで十分なボリュームはあります。(具沢山なので)
僕は普通盛りでかなりお腹いっぱいになります。 

実は幻の麻婆麺!これはもう麻婆麺ではなく天心麺だ!!

このマニアックな麻婆麺は、スキー場に雪が降るまでの夏の間しか味わうことができません。
マーボろし(幻)の麻婆麺と言えるでしょう。

ご主人は冬の間もこの場所(レストラン)で料理を作っているとのことですが、冬の間はスキー客が沢山くるので、こだわりを反映する事ができないんだそうです。
元々はスキー場の方から「スキー客の料理を作ってほしい」との依頼を受けたのがここに移転することになったきっかけらしいので、スキー客向けの大量に作る料理にまでこだわりを投入していたら、商売にならなくなるのでしょう。(それでもできる限りは手作りを心がけているのだそうです。)

その代わり、夏の間のスキー場がやっていない閑散期に、本当に自分の作りたいものをこだわって作って、その味をわかってくれる人に食べてもらって喜んでもらえれば幸せという事なのでしょうね。
もちろん、料理人は誰もがそういう気持ちを持って料理を作っているんでしょうけど、色々な制約とか生活もあったりでなかなかそうもいかないのが現状ですよね。
まるでミュージシャンみたいですねぇ。

ご主人は、アーティストであり、エンターテイナーだと思いました。


先にも書きましたが、ご主人は、華麗な経歴を持つ”巨匠”です。
そんな巨匠が、最終的に麻婆麺にたどり着いてしまったわけです!
そして、その半端ないこだわりは、しっかりと味に反映されていました。

野菜も沢山摂れるのでヘルシーさもありますし、極められた麻婆麺だと思いました。
ある意味、麻婆麺の理想的完成形ではないかと思います!
そして、誰にも真似することのできない、唯一無二の麻婆麺です。

もはや麻婆麺ではなく、”天心麺”だと言えるでしょう。


天心に行くなら覚悟が必要

実は、このお店を番組で紹介してしまったことを少し後悔してます。

番組を見てお客さんが沢山きてくれたとしても、ご主人の身は一つです。
料理を作っているのはご主人一人だけなんです。お客さんが増えてもご主人は増えません。(笑)
元々は知る人ぞ知るお店で、根強いファンに愛されているお店です。
ただでさえ3時間営業なところにお客さんが増えても、作れる数は限られています。
そして、ご主人は儲けるためにラーメンを作っているわけではないのです。
でも、少しでも多くの方に食べていただけることは本望ではあると思います。

ここは行列して食べるようなお店ではありません。

注文を受けてから一つずつ調理するので、ただでさえ提供に時間がかかるところを、お客さんが増えるとさらに時間がかかると思います。
空いている時でも10分〜15分くらいは待つのは覚悟ですが、注文してから1時間待ったという話も聞きますので、昼ごはんでサクッと食べたい人には向いてません。
数人のグループで行った場合は、料理が出てくるのにタイムラグがあるので、一人が食べ終わる頃に連れの料理がやっと出てくるということもあるでしょう。
そういうのを知らずに行ったら「待たせすぎ」と怒り出す人もいるかもしれません。

「ディ◯ニーランドに行く!」とか同じように「天心のラーメンを食べに行く」という目的で行かないとダメです。 
ディ◯ニーランドに行って、アトラクションに並んで「待たせすぎだ!」と怒り出す人はいませんよね? (まあ、あそこはおおよその待ち時間がわかるようにはなっていますが)みんな待つのを覚悟で行っているはずです。

なので、天心に行くときも「待って当然」ということを念頭に置いて、料理を待つ時間さえも楽しむという気持ちで行きましょう!

野菜料理が食べ放題!?

料理を待っている間には”お楽しみ”があります。
先にも書きましたが、野菜料理の食べ放題です。 通常は3種類ほどが用意されています。

天心店内1
奥にある”食器返却棚”は、冬のスキーレストラン営業のためのものなので、そこに食器を下げにいかないでくださいね(笑)

しかも、この野菜料理も全て地元の無農薬野菜を使っていて、ご主人の手作りなのです。
食べ放題と言っても、なくなったら足すことができないので、欲張って食べすぎないように前菜程度に済ませてください。これでお腹いっぱいになってしまったら、肝心のラーメンが入らなくなります。
ラーメンもボリュームたっぷりですからね。

野菜料理(前菜)付きで、このような手間ひまかかってこだわりまくったラーメンが1杯1,000円だとは、普通はあり得ないと思います。

マニア向けのお店(笑)

以上のような感じなので、ある意味マニア向けなお店です。
いや、全てにおいてマニア向けかもしれません(笑)
でも、ご主人にはそれが本望なんだと思います。
自分の味をわかってくれる人が食べてくれればいいと、そんなお気持ちなのかもしれません。

今回、あらためてブログで紹介させていただいたのは、ご主人の作る料理を食べた方に、この物凄いこだわりを少しでも知って欲しかったからです。 
お店のホームページがあって、そこにこだわりが書かれているわけでもないですし、行って食べるだけでは、この物凄いこだわりは知ることができません。 ただの美味しい麻婆麺になってしまいます。 もちろんそれでいいんですが、実はその美味しさを出すために並ならぬ努力とプロセスとバックグラウンドがあることを知ってほしいと思いまして。

料理は美味しければそれだけで充分なのかもしれませんが、僕は料理を食べる時とかはその料理のバックグラウンドや歴史なども知りたくなるんです。 そういうのも知った上で食べると、旨味や味わいがさらに変わってくるんです。
料理って、結局はエンタテインメントですからね。

で、ロケから数週間後に改めて天心に行ってきました。

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